光免疫療法の対象や治療の流れ、注意するべきことは? 光免疫療法の対象や治療の流れ、注意するべきことは?

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光免疫療法の対象や治療の流れ、注意するべきことは?

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光を当ててがん細胞を破壊する
「光免疫療法」の保険診療が
国内で始まりました。

顔や首にできる頭頸部がんの一部が対象で、
世界に先駆けて実用化されました。

手術や放射線、抗がん剤、
免疫療法に続く

「第5のがん治療法」と期待されています。
 
そこで今回は、光免疫療法の対象や
治療の流れ、注意するべきことについて
お伝えしてまいります。

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光免疫療法の対象とは?

光免疫療法は、がん細胞にくっつく抗体に、
特定の光にだけ反応する色素を
組み合わせた薬剤を投与した後、

光を当てると色素が化学反応を起こして、
がん細胞を破壊するというものです。

がん細胞を狙い撃ちするため、
周囲の正常な細胞は傷つけにくいとされています。

米国立衛生研究所(NIH)の
小林久隆主任研究員が開発し、

2012年には、当時のオバマ米国大統領が
一般教書演説で取り上げて、
世界的に注目を集めました。

厚生労働省は2020年9月、
光免疫治療法で使う

薬剤「アキャルックス」
製造販売を承認しました。

頭頸部がんのうち、局所で進行したり
再発したりして手術できないケースが対象です。

また、がんが光の当たりにくい
場所にあると治療ができません。

●光免疫療法の対象
局所で進行したり再発したりして
手術できない頭頸部がん

光免疫療法の治療の流れは?

治療は8日間程度入院して行います。

まず、薬剤を2時間以上かけて
点滴で投与します。

薬剤は1日かけてがん細胞に
集まっていきます。

投与から20~28時間後に
全身麻酔をした上で、
がんレーザー光を照射します。

レーザー光はがんの表面に
体の外から当てる方法と、

超音波(エコー)で確認しながら
がんに針を刺し、

光ファイバーを挿入して体の中から
当てる方法の2種類があります。

照射時間は1回につき4~5分程度で、
がんの大きさに応じて複数回行います。 

がんが縮小しないなど効果が不十分なときは、
4週間以上の間隔を空けて、
最大4回まで治療ができます。

薬剤を製造販売する
楽天メディカルジャパンによると、

治療を受けられるのは7月末時点で18施設で、
年内には約40施設まで増える見込みです。

国立がん研究センター東病院や
神戸大病院などて治療が始まっています。

関西医科大病院は7月中旬に
1例目の治療を実施しました。

咽頭がんを再発した大阪府に住む
60歳代の男性で、

1週間程度、光を当てた部分に
強い痛みなどがあったものの、
9日間の入院で退院しました。

がんは縮小し、一定の治療効果はあったといい、
週1、2回の通院で経過を見ています。

●光免疫療法の治療の流れ
1.入院1日目、薬剤を点滴で投与。
  がん細胞に徐々に集まっていく
2.2日目、投与から20~28時間後、レーザー光を照射
3.色素が化学反応を起こし、がん細胞を破壊

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レーザー照射の方法は2種類
・がんの表面に体の外か当てる
・がんに針を指して体の中から当てる

光免疫療法で注意するべきことは?

重い副作用は、抗がん剤治療などと
比べて少ないとされていますが、
注意すべきものもあります。

薬剤の投与後は、
強い光を避ける必要があります。

「光線過敏症」で皮膚に赤みや
痛みが出る恐れがあるためです。

約1ヶ月間はなるべく直射日光を避け、
外出は肌が露出しないよう

服装に気をつけるなど、
皮膚や目に強い光が当たらないようにします。

このほか、強い痛みが舌の腫れ、
のどのむくみなどが出ることもあります。

治療費は薬代だけで
約400万円と高額ですが、
4回までは保険が適用されます。

高額療養費制度が使えるため、
自己負担額は軽減されます。

光免疫療法は、他のがんへの適用拡大に向け、
食道がんや胃がんで治験が進んでいます。

小林研究員は
「数年以内にがんの7~8割を
 カバーできるようにしたい」という話しています。

●光免疫療法の主な特徴や注意点
・がん細胞だけを狙い撃ちして破壊
・手術や放射線治療などの標準治療が優先される
・効果に応じて1週間以上の間隔を空け、最大4回まで治療可能
・薬剤投与後は、なるべく室内で過ごして、
 皮膚や目に強い光や直射日光が当たらないようにする

●主な副作用
光線過敏症
強い光が当たると皮膚に赤みや痛みなどが出る恐れ

出血
治療した部分や周りの血管から出血する恐れ

●治療を受けられる施設
東北
宮城県立がんセンター

関東
埼玉医科大学国際医療センター
国立がん研究センター東病院
東京医科大病院
東京医科歯科大病院
がん研有明病院
横浜市立大病院

中部
愛知県がんセンター

近畿
京都大病院
大阪国際がんセンター
大阪大病院
関西医科大病院
神戸大病院

中国・四国
鳥取大病院
岡山大病院
広島大病院

九州
九州大学病院
久留米大学病院

まとめ

いかがだったでしょうか?

根治できる可能性を秘めた治療法で、
話したり食べたりする機能を温存でき、
生活の質を保つことが可能です。

一方で期待して来院する患者さんは多くても
他に望ましい治療法があるケースが大半です。

主治医などとよく相談して、
最適な治療法を選んでくださいね。

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