胆道がんはどんな症状、その治療法や再発を防ぐには?
治療の難しいがんとして
知られている胆道がんは、
手術で切除ができない場合は、
薬物療法が行われますが、
最近はその選択肢が増えてきています。
放射線療法の一つである粒子線治療も
4月から一部で公的医療保険の
対象になりました。
そこで今回は、胆道がんはどんな症状で、
その治療法や再発を防ぐには
どうすればよいのかについて
お伝えしてまいります。
胆道がんはどんな症状?
胆道は、肝臓でつくられた
「胆汁」と呼ばれる消化液の通り道を指します。
胆汁をためる「胆のう」、
肝臓と十二指腸をつなぐ「胆管」、
胆管と十二指腸のつなぎ目となる
「十二指腸乳頭」という
三つの部分に分けられています。
胆管は、肝臓内にあるかどうかで、
「肝内胆管」と「肝外胆管」に分かれます。
胆道がんは、胆道にできるがんの総称です。
胆のうがんなど、発生した部分によって
名称が異なります。
国内で年間約2万2000人
(肝内胆管がんを除く)が診断されます。
5年生存率は約25%で、
膵臓がんに継ぐ低さです。
黄だん、腹痛体重減少などの
症状が出ます。
初期は無症状のことが多く、
進行してから発見されやすい
特徴があります。
●胆道がんとは
胆のう→胆のうがん
肝内胆管→肝内胆管癌
肝外胆管→肝外胆管がん
十二指腸乳頭→十二指腸乳頭部がん
・胆道は胆汁の通り道。
部位によって名前が異なる
・症状が乏しく、見つかることが多い
・手術ができない場合は薬物療法が行われる
胆道がんの治療法は?
治療は手術が優先されます。
遠隔転移がある、全身の状態が
悪いなどの場合は薬物療法が行われます。
薬物療法では、3剤の抗がん剤のうち、
2剤を組み合わせる治療が行われてきました。
ここ数年は、がんをより
強くたたく効果を期待できる
3剤の同時投与も広がっています。
2018年に発表された
患者246人を対象にした研究では、
2剤よりもカズンが進行せず、
安定して過ごせる期間(中央値)が
約2ヶ月長いと報告されました。
埼玉県の男性72歳は2020年末に受けた検査で、
肝内胆管がんが見つかりました。
手術では取り切れないと判断され、
国立観研究センター中央病院で、
3剤を同時投与する治療を受けました。
その結果、一部のがんが消えたため、
2021年7月に手術を行いました。
男性のように、薬の効果が見られたため、
当初予定しなかった手術を行う事例が
少しずつ増えています。
●胆管がんの薬物療法
ゲムシタビン・シスプラチン・S-1
3剤の抗がん剤を2剤組み合わせて
使うことが多い
↓
3剤同時投与:より強力にがんを攻撃する効果を期待
分子標的薬:特定の遺伝子変異が確認された場合に投与
↓
新たな標準的な治療
手術と組み合わせた新たな治療→手術後の再発予防を狙う
術後補助化学療法:手術後に抗がん剤を投与
↓
標準的な治療になる見込み
術前の抗がん剤治療:抗がん剤でがんを小さくして手術
↓
研究段階
胆道がんの再発を防ぐには?
手術をしても再発が多いため、
手術と組み合わせた治療も広がっています。
手術後に抗がん剤を投与する
「術後補助化学療法」については
今年1月、生存期間が延びたとする
研究結果が発表されました。
今後標準的な治療になる見通しです。
また、抗がん剤でがんを小さくしてから
手術する治療の研究も進んでいます。
特定の遺伝子変異を狙い撃ちする
「分子標的薬」は使える薬が増えています。
2021年には、「ペミガチニブ」が
保険適用になりました。
薬物療法後に症状が悪化した人が対象です。
ただし、遺伝子検査で変異が
見つかって治療できる人は、
一部に限られています。
●粒子線治療
・放射線治療の一つ。
重粒子線、陽子線の2種がある
・がんを集中的に攻撃し、根治を目指す
・2022年から、手術不能の肝内胆管がんで保険適用
まとめ
いかがだったでしょうか?
2022年、手術ができない
肝内胆管がんに対する
粒子線治療が保険適用になり、
がんを集中して攻撃できるようになりました。
体への負担が小さく、
根治も目指せる治療ですので
試してみてくださいね。
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