ゲーム依存症の診断基準や小学生の割合、治療の方法は?
オンラインゲームなどにのめり込み、
日常生活に深刻な影響が出るのが
「ゲーム依存症(ゲーム障害)」です。
世界保健機構(WHO)が2019年、
精神疾患として認定した病気です。
中高生に多いとされてきましたが、
近年は低年齢化が進んでいる
可能性も指摘されています。
そこで今回は、
ゲーム依存症の診断基準や小学生の割合と
治療の方法についてお伝えします。
ゲーム依存症の診断基準は?
WHOの診断基準の作成に関わった
国立病院久里浜医療センターによると、
ゲーム依存症と診断されるのは
1.ゲームの時間をコントロールできない
2.ほかの日常の関心事や活動よりもゲームを優先
3.問題が起きているにもかかわらず、ゲームを続ける
4.学業や仕事などの日常生活に支障を来している
これらが全て該当し、
1年以上続いたり短期間でも
症状が重かったりした場合です。
●ゲーム依存症(ゲーム障害)
ゲームにのめり込み、
生活や健康に深刻な影響が出る病気
生じる問題
・朝起きられない
・欠席や欠勤をする
・物にあたる、壊す
・家族に対する暴力
など
脳の働きに変化
前頭前野 大脳辺縁系
社会性・理性などをつかさどる 本能・感情をつかさどる
↓
依存状態にある脳
前頭前野の機能が弱まり、
大脳辺縁系の働きが優勢になる
●診断の方法
□ゲームの時間をコントロールできない
□ほかの日常生活の関心事や活動よりもゲームを優先する
□問題が起きているにもかかわらず、ゲームを続ける
□学業や仕事などの日常生活に支障を来している
4つの全てにあてはまり、1年以上続いた場合や、
短期間でも症状が重い時はゲーム依存症と診断
ゲーム依存症の小学生の割合は?
人間の脳には、社会性や
理性などを司る「前頭前野」や、
本能や感情をつかさどる
「大脳辺縁系」があります。
通常は前頭前野の働きが優勢なため、
理性的な判断ができます。
しかし、依存状態になった脳では、
大脳辺縁系の働きの方が強くなります。
前頭前野の機能が低下し、
感情や欲望を制御しにくくなると
考えられています。
特に子供の脳は発達段階にあり、
前頭前野の働きが元々弱く、
依存状態に陥りやすいとされています。
厚生労働省研究班による
2017年度の調査で、
ゲームやインターネットに
依存しているとみられる
中高生は約93万人と推計されています。
患者の低年齢化もうかがえます。
同センターでは、ここ数年、
小学生の受診が増えています。
新型コロナウイルスの感染拡大で、
遊び方が制限された影響かもしれません。
横浜市は2021年11月、
市立学校に通う小学生4年~中学3年の
計4164人が回答した
実態調査の結果を公表しました。
オンラインゲームを経験した
児童・生徒のうち12%に
ゲーム依存傾向がみられ、
最も割合が高かったのは
小4男子の23%でした。
ゲーム依存症の治療の方法は?
治療は、医師の問診や臨床心理士による
カウセリングが中心です。
症状が重ければ、ゲームとの接触を
断ち切るために入院することもあります。
神奈川県の男子大学生(20)は
高校時代、人間関係に悩み、
スマートフォンのゲームにのめり込みました。
学校を休み、多い日は
1日13時間ほど費やしたといい、
「好成績をあげると、ネット上で
ほめてもらえた」と振り返ります。
この男子学生は2020年に同センターを受診し、
カウンセリングで自分の行動を見直しました。
医師と相談し、ゲームの時間を
無理に減らすよりも、
それ以外の時間を
充実させることにしました。
現在は大学の二つのサークルに入り、
イベント企画にかかるなど積極的に活動しています。
仲間に恵まれて現実的なつながりが
楽しいと思えるようになり、
ゲームをする時間が減ったということです。
●主な治療方法
意志の診断や臨床心理士によるカウンセリング
対話を繰り返して問題点を認識してもらい
改善策を考える通院で回復が見込めなければ
入院することもある
※国立病院機構久里浜医療センターのウエブサイトで、
ゲーム依存について相談できる全国の医療機関が確認できる
まとめ
いかがだったでしょうか?
ネットやスマホは生活に深く浸透しており、
完全に断つのは難しいため、
禁止ではなく、
ゲームとの付き合い方を
コントロールできるようにすることが大切です。
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