慢性骨髄性白血病とはどのような病気、その治療薬や副作用は?
骨髄の中が血液を作る
造血幹細胞の遺伝子異常により、
がん化した血液細胞が
増えつづける慢性骨髄性白血病です。
進行を抑える分子標的薬の開発が進み、
今春には新たな薬も登場しました。
超期間の服用が基本ですが、
再発の恐れがなければ薬の中止も
可能であることを示す研究結果も
報告されています。
そこで今回は、
慢性骨髄性白血病とはどのような病気で、
その治療薬や副作用について
お伝えしてまいります。
慢性骨髄性白血病とはどのような病気?
慢性骨髄性白血病は、
造血幹細胞の中に以上な
BCR-ABLというタンパク質ができ、
がん化した血液細胞を
過剰に作りだす病気で、
10万人に1~2人の割合で
発症すると考えられています。
初期は目立った症状がなく、
健康診断で白血球の数が多いことが
きっかけに見つかるケースも少なくありません。
進行すると、正常な白血球や赤血球、
血小板がつくられなくなります。
免疫の低下や貧血が
ひどくなるなどの症状が出ます。
●慢性骨髄性白病
血液をつくる造血幹細胞の遺伝子異常で、
がん化した血液細胞が無制限に作り出される。
治療をしなければ3~5年かけて進行し、
正常な白血病や赤血球、血小板がつくられなくなり、
命に関わる。
慢性骨髄性白血病の治療薬や副作用は?
かつては有効な治療法に乏しく、
3~5年後に病状が急激に悪化して
亡くなる人が大半でした。
しかし、2001年にBCR-ABLの働きを抑える
分子標的薬の飲み薬が登場すると、
病気の新興を長期間
抑えられるようになりました。
BCR-ABLにエネルギー源になる
物質・ATPがくっつくと、
がん化した血液細胞が際限なく
作り出されますが、
この薬はATPの付着を妨げます。
同様の仕組みの薬が次々と発売され、
生存率が向上しました。
1982年以前に診断を受けた患者の
推定8年生存率は15%以下でしたが、
2001年以降は87%と大幅に
改善したとする海外の報告もあります。
ただし、BCR-ABLが変形して薬が
結合しづらくなるなど
治療効果が低下することもあります。
また、だるさやむくみ、
こむら返りなどの副作用に悩む
患者も少なくありません。
こうした場合、別の薬への切り替えや
休薬も検討します。
こうした場合、別の薬への切り替えや
休薬も検討します。
2022年5月に公的医療保険が
認められたセムブリックスは、
従来の薬とは異なるBCR-ABLの部位に
付着し働きを抑えます。
2種類以上の薬を使っても効果が
得られなくなった患者を対象に使われます。
治療が功を奏して、がん化した血液細胞が
一定期間ほぼ見つからなくなった患者には、
薬の中止を試みることもあります。
国内の臨床研究で、
薬を1年以上中止しても半数以上が
再発しなかったとする報告が複数あります。
薬の中止を試みる研究の背景にあるのは、
高額な薬剤費です。
患者や家族で作る
「いずみの会」が会員に実施した
2021年の調査によると、
受診1回あたりに支払う医療日は
平均6万4000円で、
日常生活の困難なことがらでは
「医療費の負担」(59%)が最多でした。
●分子標的薬治療の課題
・多くが高額で経済的負担が大きい
・副作用に悩まされる患者も少なくない
・薬を中止できる可能性も
がん化した血液細胞が一定期間
ほぼ見つからなくなった患者を対象に、
副作用中止を試みる臨床研究を実施。
中止後も再発しない患者が一定の割合で
確認されたとの報告が相次ぐ
まとめ
いかがだったでしょうか?
患者が再発のリスクや
再治療の可能性も理解した上で、
安定した状態にあれば、
薬の中止も選択肢となるでしょう。
関連記事:成人t細胞白血病の原因や治療法、母子感染を予防するには?
子供の白血病の割合や症状、検査の方法や治療法は?