膵臓がんになぜなる、その原因や治す方法、術前化学療法とは?
治りにくいがんの
一つとされるのが膵臓がんです。
そこで今回は、膵臓がんになぜなるのか?
その原因や治す方法、術前化学療法について
お伝えしてまいります。
膵臓がんになぜなる、その原因は?
膵臓がんは国内で年間に
約4万人が発症しています。
部位別の死亡数はでは、
肺、大腸、胃に次いで4番目に多く、
家族に膵臓がんの人がいることや
糖尿病、慢性膵炎、肥満、喫煙などが
発症を高める要因とされています。
膵臓は体の奥にあり、
がんの初期には症状が出にくく、
早期の発見が困難です。
病期(ステージ)は、
がんの大きさや広がり、
転移の有無などで決まります。
●膵臓がんの主な危険因子
□家族に膵臓がんの人がいる
□糖尿病
□慢性膵炎
□肥満
□喫煙
□大量の飲酒
膵臓がんを治す方法や術前化学療法とは?
治療として手術で切除できる「切除可能」は、
がんが小さく、膵臓内にとどまる0、1期が中心です。
2期の一部も含め、全体の2割程度です。
2、3期間の一部が当てはまる
「切除可能境界(ボーダーライン)」は、
目で見える範囲のがんは切除できても、
取り残す可能性があります。
一方、離れた臓器にがんが転移する4期などは、
手術できない「切除不能」となります。
膵臓がんの5年生存率は手術可能な
1期だと43.2%で、
手術後に転移・再発するケースが目立ち、
5年生存率はがんの部位別では
最も低い10.0%です。
また、抗がん剤の塩酸ゲムシタビンとS-1を使った
治療(術前化学療法)の方法もあります。
ただ、術前化学療法は専門学会が
推奨する標準治療になっていません。
東北大病院などの研究グループは2013年から、
有効性を確認する臨床試験を行いました。
試験には全国57医療機関の患者364人が参加し、
手術後にS-1を投与する標準治療のグループと、
術前化学療法を加えたグループに分けて、
治療成績を比べました。
その結果、患者の生存期(中央値)は、
術前化学療法グループの36.72ヶ月に対し、
標準治療グループは26.65ヶ月で、
2年生存率も前者が63.7%、
後者は52.5%と差がつきました。
手術前は後に比べて、
患者の体力があるため、
十分な量の抗がん剤を投与できます。
周囲のリンパ節への転移や
肝臓への再発が減るほか、
がんが小さくなって手術が
しやすくなる効果もあるといえます。
一方、すぐに手術しないことで、
がんが進行し、
切除できなくなるとの
懸念ありましたが、
違いはありませんでした。
●膵臓がん治療の流れ
診断確定
↓ ↓ ↓ ↓
病期 病期 病期 病期
0、1期 2期 3期 4期
↓ ↓↓ ↓ ↓ 切除が可能
切除が可能 切除可能 切除が可能(遠隔転移あり)
↓ ↓ 境界 (局所進行) ↓
↓ ↓ (ボーダー ↓ ↓
↓ ↓ ↓ライン) ↓ ↓
↓ 術前化学療法 ↓ ↓→→↓→→→ ↓
↓ ↓ ↓ ↓ ↓↓
→→手術←←←←←←← 放射線療法 化学療法
↓ +化学療法
術後補助化学療法
●術前化学療法を行った治療の
効果を証明するため臨床試験を実施
臨床試験
【術前化学療法】
抗がん剤の塩酸ゲムシタビンと
S-1を投与
↓
手術
【 術後補助化学療法】
抗がん剤のS-1を投与
結果
生存期間(中央値)
36.72ヶ月
↑
術前化学療法なし
26.65ヶ月
-----------------
2年生存率
63.7%
↑
術前化学療法なし
52.5%
まとめ
いかがだったでしょうか?
術前化学療法は学会でも
標準治療に位置づけるための
議論が始まっています。
使う抗がん剤の種類や投与期間、
放射線治療との組み合わせなど、
さらに効果的な方法の研究が待たれています。
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