がん悪液質の症状とは、治療の効果や食事療法と運動療法は?
進行がん患者に起こる
「がん悪液質」という病気があります。
筋肉が減って痩せるため、
次第に歩きづらくなります。
2021年4月には、
国内初の治療薬が発売されました。
筋力を維持する運動や
食事指導を組み合わせることで、
症状の改善につながることも期待されます。
そこで今回は、がん悪液質の
症状とはどんなものか、
また、治療の効果や食事療法と
運動療法についてお伝えしてまいります。
がん悪液質の症状とは?
がん患者の耐自由が減る
主な原因は二つあります。
がんの症状や、治療の副作用で
思うように食べられず
栄養不足になることと、
がん悪液質です。
がん悪液質では、
筋肉や脂肪の分解が進むため、
食べてもやせ、食欲自体も落ちます。
半年間で体重が5%以上減ることが
診断の目安となります。
原因は不明ですが、がんに抵抗するために
体内で起こる炎症反応や、
がん細胞から産生される物質の
関わりが指摘されています。
肺がん(非小細胞肺がん)などの患者は、
進行がんと診断された時点から
多く見受けられます。
しかし、乳がんや前立腺がんでは、
命に関わる状態になるまで
発症しにくいとされています。
症状が進むと、治療に影響し
歩けなくなるほど全身状態が悪化すれば、
抗がん剤などの治療が
難しなるおそれがあります。
●進行がん患者に起こるがん悪液質
・筋肉の衰え、食欲不振、倦怠感が起こる
・肺がん、胃がん、大腸がん、膵臓がんに多い
・歩行に不自由したり、がんの治療が難しくなったりする
がん悪液質の治療の効果とは?
がん悪液質には、いままで
有効な治療はありませんでしたが、
飲み薬の「アナモレリン」
(商品名:エドルミズ)が
国内初の治療薬として登場しました。
対象は肺がんや胃がん、
膵臓がん、大腸がんの患者です。
薬の有効成分は脳に届き、
脳は食欲を増す指令を出して、
成長ホルモンを分泌します。
このホルモンは、肝臓が
別のホルモン「IGF-1」を
分泌するのを促すことで筋肉を増やします。
肺がん患者を対象にした臨床試験(治験)で、
この薬を12週間服用した群れでは、
脂肪を除く体重(筋肉や骨などの重さ)が
約1.38キロ増えましたが、
偽薬を服用した群は約0.17キロ減りました。
京都府に住む肺がんの男性(59)は
2019年11月半年間、この薬の別の治験に参加し
47キロだった体重は、
服用して50キロになりました。
今は、がん免疫治療薬の点滴を受けながら
建設作業員として働いており、
「飲む前は歩くのもつらかったが、調子が上向き、
がん治療が続けられるようになった」と話しています。
ただし、アナモレリンの治験では、
筋肉は増えても、筋力は改善しませんでした。
治療薬の意義は大きいものの、
この薬だけで問題は解決できません。
がん悪液質の食事療法と運動療法は?
京都府立医大や静岡県立静岡
がんセンターなどのチームは
「筋肉への負荷が必要」として、
患者が自宅で行う筋力維持の
プログラムを開発しました。
太ももやふくらはぎ、
お尻の筋肉を鍛えます。
椅子から立ち上がる、
膝を伸ばすなどの五つのメニューです。
抗がん剤治療を続ける
高齢者の患者でも、続けられます。
食事では、筋肉の材料となる
タンパク質の摂取も心がけます。
●足の筋力を維持する運動の例
1日1~3セット、転倒に注意して無理のない範囲で進める
1.立ち上がる(10回)
太ももの筋肉を意識する。
2.ひざを伸ばす(左右各10回)
伸ばした状態で3秒止める
・活動量を落とさないことも重要
1日の歩数は現状より2000歩増を目指す。
8000歩が上限
まとめ
進行がんと言われても、
可能な限り活動量を増やしましょう。
家事や身の回りのことは自分で行い、
意識して歩数を伸ばしてくださいね。
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