免疫不全症とはなにその原因や症状、診断や検査の現状は?
生まれつき抵抗力がなく、
様々な感染症にかかりやすい病気を
免疫不全症(PID)といいます。
診断が難しく、
命に関わる場合もあります。
早期に発見することを目指して、
少量の血液で病気の有無を調べる
新生児検査の項目に導入しようと、
研究が進められています。
そこで今回は、免疫不全症とはなに
その原因や症状、診断や検査の
現状についてお伝えしてまいります。
免疫不全症とはなにその原因や症状は?
免疫不全症は400種類以上ある病気の総称で、
1000~1万人に1人に1人の割合で
発症するといわれているます。
身の回りにありふれ、
健康な人はさほど心配する必要がない
病原体への抵抗力もなく、
様々な感染症にかかりやすくなります。
なかでも重症化して死亡する
リスクが高いされるのが、
免疫に関わるリンパ球の一種のT細胞がない
重症複合免疫不全症(SCID)と、
B細胞欠損症(BCD)です。
予防接種を受けると、
本来、ワクチンで防ぐはずの感染症にかかり、
胃腸炎になって下痢や血便の症状が出たり、
骨髄炎や脳炎を発症したりする恐れがあります。
●免疫不全症(PID)とは
・乳幼児期に様々な感染症にかかり、
肺炎や重症の下痢などを発症しやすく
命に関わる場合がある
・死亡リスクが高いのは
「重症複合免疫不全(SCID)」と
「B細胞欠損(BCD)」
・予防接種を安全に受けられない
・早期診断が難しい
PIDが疑われる主な症状
・呼吸器や消化器の感染症を繰り返す。
体重が増えない
・1年に2回以上、肺炎にかかる
・抗菌薬を服用しても、2ヶ月以上、感染症が治らない
・1年に4回以上、中耳炎にかかる
免疫不全症の診断や検査の現状は?
SCIDは、骨髄移植や臍帯血移植といった
治療を受けることで、
根治が期待できます。
BCDは、体内に侵入した病原体を
攻撃する抗体を補うため、
免疫グロブリンを定期的に注射し、
感染症の発症を防ぎます。
ただ、これらの病気に詳しい医師でなければ
診断が難しいのが現状です。
防衛医科大などの研究チームは
2009~2011年、血液中の遺伝子の断片から
T細胞やB細胞の有無を調べる手法で、
SCIDとBCDを診断するできると
海外の医学誌に報告しました。
国内では、生後5日前後の赤ちゃんに、
足のかかとから血液を採取して
濾紙に付着させて、
約20種類の病気の有無を調べる
新生児検査が行われています。
現在は、SCIDとBCDは
検査項目に入っていません。
愛知や熊本、埼玉県などの病院では、
同大などの研究チームの報告をもとに
2017年以降、新生児検査で任意に
SCIDやBCDの有無を調べる取り組みをしています。
国内の15医療機関で作る
日本医療研究開発機構(AMED)の
研究班も2019年~2021年度に、
新生児検査の項目にSCIDと
BCDを加えることを目指して、
20万人以上の検査データを
解析する計画を進めています。
日本小児科学会など関連3学会は、
これらの病気を新生児検査で調べられるよう
2020年12月、厚生労働省に要望書を提出しました。
茨城県の男児(2歳)は生後2ヶ月だった2019年3月、
39度の熱を出して近くの病院に入院しました。
肺炎が見つかり抗菌薬を投与しましたが、
1週間たっても回復しませんでした。
その後、通常の免疫があればかかりにくい
「ニューモシスチス肺炎」と分かって、
転院した東京医科歯科大病院でS
CIDと診断されました。
同年5月、臍帯血移植を受け、
外出もできるようになりました。
現在は数ヶ月に1回通院し、
経過をみています。
治療法
SCIDは骨髄移植や臍帯血移植
BCDは免疫グロブリンの注射を実施する
SCIDやBCDを検査項目に加えることを目指し、
全国15医療機関で研究が進む
↓
新生児に行われる
検査で分かる主な病気
・アミノ酸代謝異常
・有機酸代謝異常
・脂肪酸代謝異常
・糖質代謝異常
・内分泌疾患
生後5日前後の赤ちゃんのかかとから
少量の血液を採取。濾紙(ろし)に染みこませ、
専用の機器で血液成分を分析する
まとめ
いかがだったでしょうか?
診断が難しい病気だからこそ、
新生児検査で速やかに見つけて、
治療につなげることが重要ですね。
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