在職老齢年金制度とは? 在職老齢年金制度とは?

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在職老齢年金制度とは?

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シニア世代が厚生年金を
受給しながら会社で働くと、
厚生年金を減額される場合があります。

「在職老齢年金」という仕組みです。

減額を避けようと
働き方を抑える人もいることから、

厚生労働省は次の年金改革に向け、
制度の見直しを検討しています。

そこで今回は、
在職老齢年金を巡る議論について
お伝えしてまいります。

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在職老齢年金制度とは?

在職老齢年金は、
次のような仕組みです。

60歳代の人が会社などに勤め、
厚生年金の加入者になった場合、

受給中の厚生年金と賃金の合計額が
月48万円を超えると、

超過分の半分が年金から
差し引かれるのが基本です。

例えば、本来支給されるはずの
厚生年金が月10万円の場合、

賃金が月38万円を超えると
減額が始まります。

賃金が1万円増えると年金は5000円減り、
賃金が58万円以上だと年金はゼロになります。

ただし、厚生年金を受給する人は65歳以降、
満額で月約6万6000円(今年度)の
基礎年金(国民年金)も同時に受給できます。

在職老齢年金で厚生年金が減らされても、
基礎年金は減額されません。

一方、保険料については、
60歳代は若い世代と同じように

賃金の18.3%(会社と従業員が半分ずつ負担)を徴収されます。

70歳以上の人も、減額の計算方法は
60歳代と同じです。

ただし、保険料は徴収されません。

厚生年金は、主に現役世代の納める
保険料で高齢者を支える仕組みです。

働いて一定程度の収入がある
シニアに全額を支給することは、

現役世代の理解を得にくい、
というのが減額の理由です。

また、この制度は年金財政に
プラスの影響を与えています。

年金の受給権がある
65歳以上の会社員などのうち、

減額されているのは
17%にあたる約49万人です。

支給停止になっている金額は
年約4500億円にのぼります。

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その一方、年金の減額には、
せっかくの働く意欲に
水を差す副作用があります。

厚労省の調査では、
65~69歳で厚生年金に加入して

働く人の4割以上が、
「減額を避けるため働かない」

または「就業時間を調整する」
と回答しています。

日本では今後、労働力人口の減少が
予想されており、
既に人手不足が深刻です。

政府は働くシニアを
増やすことを目指しています。

「人生100年時代」に
そぐわない制度だという指摘が、
専門家の間で目立ちます。

海外の例を見ても、
米国、英国、ドイツ、フランスでは、

高齢者が働いても年金は
原則として減額されません。

さらに、現行制度では、
厚生年金に加入しなくても済む

小規模な個人事業所などで働くと、
年金の減額を避けることができます。

働くシニア世代の間で
不公平が生じているのです。

厚労省は2020年の年金改革で、
減額を廃止するかどうかを検討しました。

ところが、与野党から
「高所得者への優遇になる」
などの声が強まったため、

結局は制度の一部見直しに
とどめた経緯があります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

2023年10月に開かれた
厚労省の審議会では、

委員から減額の廃止を
求める意見が目立った一方、

現行制度の維持が
望ましいという声もありました。

減額の廃止は年金課税の
強化とセットで行うべきだ、
という意見も出ました。

厚労省が2025年に予定する次の年金改革で
どんな見直しが行われるか、
先行きは不透明です。

関連記事:在職老齢年金とはどんな仕組み、減額制度とは?
     在職老齢年金の仕組みや基準額は?



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