特発性血小板減少性紫斑病の症状や発症の原因、治療法は?

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特発性血小板減少性紫斑病の症状や発症の原因、治療法は?

傷口に集まって血を固める
「血小板」が減って、
出血しやすくなる難病があります。

原因が不明で(特発性)で、
腕などに紫斑が現れることから
「特発性血小板減少性紫斑病」
と名付けられています。

近年、免疫の異常で
発症することがわかって、
よく聞く薬も登場してきました。

そこで今回は、
特発性血小板減少性紫斑病の
症状や発症の原因、治療法について
お伝えしてまいります。

  

特発性血小板減少性紫斑病の症状は?

皮下で内出血が起きて、
直径数ミリほどの斑状、
点状の発疹ができるほか、
・鼻血や歯茎の出血
・尿や便に血が混じる
・月経時の出血過多

といった症状が表れます。

外から見える場所なら
気づきやすいのですが、

胃や腸などの粘膜からの出血は、
場所がわかりにくく止血も難しいと言えます。

特にリスクが高いのは脳出血で、
めったに起きないとはいえ、
命にかかわる恐れがあります。

国内患者数は推計約2万人で、
20~40代の若い女性が目立ち、
この世代では男性の約3倍も発症します。

5歳くらいまでの幼児では
半年以内に治る「急性型」が多く、

それ以上続く「慢性型」は
成人に多い傾向があります。

●主な症状
脳出血(頭痛、嘔吐など)
斑状・点状の発疹
歯茎の出血
鼻血

特発性血小板減少性紫斑病の発症の原因は?

血小板は通常、
血液1立方ミリメートルの中に
15万~40万個含まれますが、

5万個以下になると
出血しやすくなります。

血小板が減る仕組みとしては、
まず「B細胞」と呼ばれる免疫細胞の一種が、

何らかの原因で血小板を「敵」とみなし、
攻撃の目印(抗体)を作ります。

抗体がくっついた血小板は、
左脇腹にある「脾臓」へ運ばれ、

別の免疫細胞「マクロファージ」に
破壊されてしまいます。

さらに、このマクロファージが
血小板に対する攻撃信号を出し、

信号を受けた別のB細胞も抗体を作る、
という循環で悪化します。

敵ではない血小板の抗体が
なぜ作られるのかついては、
詳しく分かっていません。

 

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特発性血小板減少性紫斑病の治療法は?

国指定の難病なので
医療費の補助を受けられます。

まず、胃の中に生息し、
胃がんの原因にもなる
「ピロリ菌」の検査します。

発症に関与している場合があるためで、
除菌すると約半数の人は血小板が増えます。

除菌の効果がない場合や、
保菌していない人でも、

血液1立方ミリメートル中に
3万個以上の血小板があり、

出血がなければ
経過観察だけでかまいません。

同2万個以上3万個未満で
出血していない人には、

注意深く経過をみて、
場合によっては免疫反応を
抑えるステロイド剤を使います。

同2万個未満の場合や、
出血症状のある重症者にも
ステロイド剤を投与します。

約8割の人に効果がありますが、
長期の大量投与は副作用が大きいため、

効果が乏しければ
別の治療法に切り替えます。

血小板のもとになる細胞に作用して
血小板を増やす「TPO受容体作動薬」は、
8割以上の人効くとされます。

2010年に登場して、今年作成された
国の治療ガイドラインでは
推奨度が上がりました。

また、抗がん剤の一種
「リツキシマブ」は2年前、
この病気にも適用が広がりました。

B細胞の働きを抑えて
抗体を作らせないようにする薬で、

治療期間が4週間で
済むといった特長があります。

以前は、血小板を破壊する脾臓の
摘出手術が主流でしたが、

免疫にかかわる臓器のため、
摘出後は感染症に
弱くなるという課題がありました。

二つの新たに薬が使えるようになり、
治療の選択肢が増えたと言えるかもしれません。

●治療の流れ
受診・診断

ピロリ菌検査
↓    ↓
陽性   陰性

除菌→→↓
↓   ↓ 
有効  無効
    ↓
血小板数(血液1立法ミリメートル中)
3万個以上で 2万個以上3万個 2万個未満か
出血     未満で出血なし 出血あり 
↓       ↓       ↓
経過観察  注意深い → ステロイド剤
      経過観察    ↓   ↓
              ↓   有効
・TPO受容体作動薬 ←←←←無効
・リツキシマブ
・脾臓摘出

まとめ

いかがだったでしょうか?

特発性血小板減少性紫斑病も
新しい薬によって
病状が制御しやすくなりました。

ただ、発熱すると血小板が減りますが、
アスピリンなど一部の解熱剤は
血小板の機能を下げるため禁物です。

血小板数が血液1立法ミリメートル中
3万個以上であれば
大きな問題はないため、

専門医の診察を受けて、
心配しすぎずに過ごしてくださいね。

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