アトピー性皮膚炎になぜなる、最新治療の効果は?
多くの患者が悩むアトピー性皮膚炎について、
かゆみに特化した新たな注射薬「ネモリズマブ」
(商品名ミチーガ)が2022年8月に発売され、
生活の質の改善が期待されています。
診療指針も改定され、
薬を適切に使用する環境作りが進んでいます。
そこで今回は、
アトピー性皮膚炎になぜなるのか、
最新治療の効果について
お伝えしてまいります。
アトピー性皮膚炎になぜなる?
アトピー性皮膚炎は、
皮膚が乾燥しやすいなど
「バリア機能」が弱い人に多く、
汗やアレルギーなど外からの
刺激で炎症が生じて、かゆくなります。
ひっかくとバリア機能が低下し、
炎症とかゆみが悪化します。
かゆみは睡眠を妨げ、
集中量を低下させるなど、
生活の質に大きく影響します。
これまでの薬は炎症の
緩和などを目的にしたもので、
治療中でもかゆみを
抑え切れない患者がいました。
かゆみの原因になるのは、
体内で作られる「インターロイキン31」
などのタンパク質です。
末梢神経にある受容体にくっつき、
脳がかゆみとして認識します。
ネモリズマブは受容体をふさぎ、
かゆみのシグナルが
出ないようにする仕組みです。
●アトピー性皮膚炎の最新治療
バリア機能低下→
↓ 炎症反応
かゆみ、ひっかき←
ひっかくと、皮膚のバリア機能が低下して、
炎症とかゆみが悪化する悪循環
皮膚のバリア機能が弱く、
刺激などで炎症反応がおきて、
かゆみが生じる
アトピー性皮膚炎の最新治療の効果は?
香川県の女性(31歳)は小学生の頃から
治療してきましたが、
1年ほど前に症状が悪化しました。
かきむしって出血し、
夏は服装にも悩みましたが、
2022年8月にネモリズマブの注射を始めると
かゆみは落ち着きました。
まずは基本治療の大切さを伝えた上で、
この薬を使っています。
ネモリズマブの臨床試験では、
従来の治療を行っても
「中程度以上」のかゆみが
ある患者215人を対象に実施しました。
「かゆみがどのぐらい改善したか」を調べた結果、
ネモリズマブを投与したグループでは
16週間後に平均43%改善しました。
偽薬(プラセボ)グループの21%とは、
大きな差が認められています。
使用できるのは13歳以上で、
注射は4週間に1回行います。
自己負担額が3割の場合、
1回約3万5000円です。
症状が悪化してしまうなど、
副作用が出る人もわずかにいます。
説明しながら慎重に使い、
できるだけ多くの患者さんに、
かゆみが落ち着いた生活を実感してください。
アトピー性皮膚炎の診療指針は2021年改定され、
薬を適切に使う取り組みが広まっています。
治療ステロイドなどの塗り薬から開始します。
皮膚の状態の薬の強さが異なるほか、
使用量や回数が適切でなければ
効果が出にくくなります。
そのため新指針では、
塗り薬で症状が落ち着かない場合には、
次の治療に移る前に
塗り薬の使用方法や用量、
医師の判断を再確認することが
明記されました。
改定までに承認された
3種類の薬も加わりました。
まとめ
いかがだったでしょうか?
患者にとって治療の選択肢が
増えるのは良いことなので、
症状や年齢、生活などに応じて、
最適な治療法につなげるのが大切ですね。
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